自分への手紙 2

2017年12月  食道がん術後の日記

「寒い、北風が痛い」と看護師さんが言う

横目で窓の外を見ていると、 秋風とよりを戻した方がましだろう

入院前に戻りたい

両親のいる元家族の所に行くのか 自分の今の家族のところに戻れるのか

どちらかに決めてくれ

苦しい

肺に穴が開いているらしい

どうやら、10年前の肺気胸のせいで 右脇から空気が漏れている

5 CM 四方の小さなぺちゃんこのビニール袋で 何度も 何度も 呼吸をしてるみたいだ

小刻みに 繰り返し 繰り返し

限界を越している

どこが限界だか分からないが

だめだ 負けそう

昨日妻の妹が名古屋から見舞いに来てくれたが、 ICU では患者の気持ちが第一優先
会わずに帰ってもらった

心の中では感謝していたが、呼吸もままならず

こんな姿を見たら、彼女は一生頭から離れないだろう

体中チューブだらけで、手首以外動かせない

何かを書いていないと気が紛れず 苦しい

明日 緊急手術をすると決まった

とにかく何とかしてくれ

本当は、人に会いたい 家族も 友達も ディゴもペンも

意識のある植物人間のようだ

それでも僕は生きている

僕はここにいる

今の家族は誰にも渡さない

さよならは俺の夢

さようならの分け前は人の夢

「1年経つと冷静に読めます」

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ICUから見える景色

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