謎の老婆

わざわざ映画館に行かなくても、恐怖を体験ができ

スクリーンのゾンビを見るよりリアルな老婆が その館に住み着いている

近所のスピーカーと呼ばれるおばちゃんに聞いた話だが、その老婆は いつか王子様が誕生日にバラを抱え迎えに来てくれると

今だ信じているらしい

きっと王子様は、歳の数だけのバラで顔が隠れてしまい 足元も見えず 伸び放題の雑草に足をとられ 転んでしまい

バラもバラバラ

隣の犬がそこに入り、マダニにやられる始末

迷惑なことに、新聞配達のおっちゃんの目覚ましが鳴る前に目を覚まし

どでかい音で ノイズがかったシャンソンを聴く

早起きなんかじゃない 昼寝をしすぎて、夜 寝そこなっているだけ

風がどこから吹いてこようが気にしない くさや を朝食に焼くのが日課

洗濯物は原色ばかり ド派手で花柄

昼寝が終わると、自称 仕事に出る

最初に病院 心が痛いと受付の人を困らせ 

次に警察署に行き 私の王子様がいないくなったと捜索願を出す

街中に迷惑をお裾分けして歩く

そして、回覧板が来ると、自分の少女時代の写真を貼り付け 次に回す

長年住んでいると色々な人がやってくる

不思議な老婆

関わりたくはないが、そこを通らないとディゴの散歩は難しく 今更変更もできず 成立しない

ディゴは、会うたびに逃げる

今は、老婆の話を聞く前に戻りたい気分

あなたの近所にも必ずいますよ こんな人が

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