あれはデビューして間もない頃 確かに見ました
それも9月半ば
八ヶ岳のてっぺんにある、麦草ヒュッテ というどでかいぺンションで
野外音楽祭があるとのことで 大御所達に連れられ歌いに…..
歌声は山々を超え、雲よりも上を走る
山を愛する人々のアーティストを見る目は、清々しい限り
ステージが終わった後のビールはうまく 透き通った空気がつまみ
夜も更け、1人の大御所が「ガリバー立ちしょんに行こう」と外へ
二人で用を足し、「ガリバー上を見上げてごらん」と
そこには、なんと天の川ではないか
星だらけの夜空のど真ん中を掻き分け 束になった星たちの川が流れていた
コロンブスがアメリカ大陸を発見したときも こんな気持ちだったのか
心はレッドゾーンマックスで 体はかたまり動けなくなってしまい
何もできず
子供の頃から、絵本や図鑑でしか想像をしたことがないものが、
その時 現実を受け止められず時が止まった
とはいえ、頭の中だけで夢物語のドアを開くのに さほど時間はかからなかった
思い出すだけで、あの日から今日も 明日も 明後日も
あの川の流れに乗り 夢の中で生きてこれたような気がする
日々あれを見上げながら過ごせるのなら、隣にいた音楽のライバル達に
「お先へどうぞ」と言いたくなるような気がした