過去の記憶を消したければ消せばいい
大切なのは消し方を覚えておくこと
なぜだろう
雨が降ると、消したつもりの過去が胸をえぐるかの様に蘇る
別れを盛り上げてしまう雨と、さよならは同居しているのか
ただ、今日のような春の扉を開くための雨は 憎めない
奥様が庭に植えてくれた 俺の大好きなチューリップとスズランが
元気に顔を持ち上げ ため息交じりの孤独を ゴクンとのどにしまい込んでくれる
こんな日は、癌になって喧嘩別れしたワインとよりを戻すのもいいが
そんなことをやらかしたら 奥様に俺丸ごと花の肥やしと 庭に埋められてしまう
誰もが生きてきた分だけ別れを告げてきたはず (昨日という日にも)
だが一番辛いさよならは この世との別れ
このサヨナラの記憶は嫌でも消去される
既読し 残せる奴は 幽霊だけ
初めましてから こんな自分勝手が仕事のアーティストに、愛想尽かし嫌気がさしても
今だ、共に歩んでくれる人達との長い時間より、その大切な人達とのさよならを知った
あの1日のほうが長い気がする
その記憶は、火薬を使ってもこの世を去るまでは形を崩さない
10年後の自分にメッセージを残してみるのも悪くないが 自分で既読出来るかどうかは
神のみぞ知る
その日に向かっていつも明日のことを考える記憶を残してゆきたい
生きてるって すっごくいいね