酒と泪と男とがん奈

最近、我が家ではがんのことを、「がん奈」と呼んでいる

なぜか女の子らしい

俺にまとわりつく、追っかけのような女の子のようだ

追っかけなんて、20代で終わってしまった俺にとって 嬉しいような悲しいような

誰がつけたか?

俺を手のひらに乗っけているやつに決まっている

でも頼もしいです 「私がそんなストーカーみたいなやつやっつけてやる」と

妻は晩酌にビール1缶で、顔を真っ赤に 目がトロン 安上がりな人

忘れてしまいたい事やどうしようもない寂しさも あるはずもない
楽しく飲んでいる

飲めない俺の前で 平然と味わっている

そういう時に限って「ガリちゃんがん奈の調子どう?」
と聞いてくる

「どう?」と聞かれても困る

体が、と聞かれたら答えられるが

「がん奈」は追っかけを卒業し 諦めてくれたはず

12月に検査したでしょ

先生も、「これからは定期的に追いかけていきましょう」と言ってくださった

追いかけてくれているのは先生方だけ

妻はニコニコ 自分がやっつけたと思っている

また一つ 女の方が偉く思えてきた

飲んで 飲まれて 呑まれて 呑んでほどの量ではなく
気持ち良さそうにビール1缶で酔っ払っている

俺も酔って何もかも忘れ、眠ってみたい時がある

栄養をワインから取っていた俺にはいささか酷 な風景
酒と喧嘩別れし、よりを戻す気もないが

程よく付き合えれば良いのだけれど 当分はやめておこう

味方につければ心強いが 敵に回すと厄介だ

扱いを間違えると女と同じ、たちが悪い

(  女性の皆さんごめんなさい  )

なるほど「がん奈」と名付ける意味がわかる

ただめでたい時 大好きな人達と会った時だけは
軽くグラスとKISSぐらいはいいかな

またひとつ男のずるさが見えてきた

「がん奈」に家の玄関まで来られベルを鳴らされたら大変だ

俺は男
もう家族に涙は流させるわけにはいかない

今夜もヨーグルト R 1を煽って 静かに眠るのでしょう

IMG_1384 (編集済み)
24歳 追っかけられて

 

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