きよ彦さん

太陽が赤いと答える人

夕日しか見ていないのか 違う色もあると気づいていないのか

その人とこんな会話をした覚えがある

朝日の下であったことが1度しかない先輩が、亡くなりました

タレント 着物デザイナー 料理店 と幅広い職業をこなし
いつでもどこでも笑わせてくれた

俺の母が癌で塞いでいる時も、「連れてきなさい 笑わせてあげるよ」

と嬉しい言葉を投げかけてくれたことは忘れない...

そんなきよ彦さんが、下咽頭癌ステージ4 食道癌ステージ1 だとは知らなかった

昔は、夜になると きよ彦さんの店や 俺の仲人さんの画家のマンションで
ホームパーティーを月に2~3はやっていたので

恵比寿を練り歩くおしゃべりストと呼んでいたものだ

俺が作った料理を差し入れるたびに、よく褒めていただき

「あんた天才ね」 と一言

「私の店やってくれない?」と本気で電話がかかってきたこともあった

きよ彦さんの腕も確かだが、一度だけ失敗したことを覚えている

画家Tさんの、八丈島の別荘で取材をかねての 6人旅の際

参加した弁護士さんに、きよ彦さんが作った「バンバンジー」

間違って 猫の毛玉取り缶詰を入れてしまい 

後 弁護士さんが海にも行けず トイレに駆け込んでいたことも...

訴えられたらどうしよう と心配していた顔が、今でも目に浮かぶ

そして、 結婚前 嫁さんを紹介し 後 聞いた話だが

「あの二人結婚するわよ」と言っていたらしい 先見の目もあったのかな

長年会ってはいなかったが、あの毒舌で 香ばしいおしゃべりを聞けなくなったかと思うと

寂しくなる

咽頭がん、中か下かの違いだけで俺とはほとんど同じ

お互い伝えていたら、話も盛り上がったに違いない

いつかまた あの世で飲んで 食って 騒ぎましょう

天国に夜はあったかな?

今度は、もう一つの黄色いおひさまの下で

ご冥福をお祈り申し上げます

 

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