12月 そしてクリスマスが近くなると、幸せってやつにこだわりが出てくるが
苦痛から逃れる術を覚えてしまった今
幸せを確認することさえも力尽き おろそかになる
不思議なことに、デビューしてからの12月のプライベートは浮いた出来事の確率が低い
毎年レコーディング 全国ツアーのど真ん中 クリスマスは仕事場
女性とのキャンドルライトでワイン なんて夢のまた夢
ケータリングのお姉ちゃんと、ペットボトルでお疲れ様
移動の車内からイルミネーションを眺めるだけ
光と影 夢を取れば何かが犠牲になる
わかっちゃいるけど
ただ、体を壊しては元も子もない 全て手放すことになる
12月の悪夢
今日で食道がん入院からまる2年
翌年、咽頭癌入院と続き 毎年12月を棒に振っている
クリスマスのシャンパン代わりに 水も飲めず点滴で乾杯
100%幸せの人間などいないと思うが マイナス100%に近い人間は、数多くいる
求めすぎるのか この2年 必死になって探しまくったが見つからず
もう一度見てみたい 影でもいいと
だが、どんな素晴らしい画家でも幸せの影は描けない
幸せを形にすると言い張る彫刻家は、不幸の影に気づかない
そう思うと、幸せの形や影を生み出し 歌うというアーティストは
信用できず勘違いしてることに悩みだす
こだわることに遠ざかる 嫌いになりたくない12月
せめて幸せは「こうだ!」と 規則に縛られない風に吹かれれば
「ようこそ」と 12月の悪夢の拍手が届かないエリアに行けそうだ
世の中の悩みは それよりうんとでかい
不幸を寄せ付けない秘密兵器は 「愛」
戦争を終わらす秘密兵器と同じだ