サザンの桑田さんも、食道がん早期発見 ステージまでも俺と同じ
桑田さんが元気でクリスマスソングを歌う姿を見て 手術に臨んだが、
俺は食道の一部を切除し、胃を切り つなげたせいで ダメージが大きかった
そしてあのイブの夜…
サンタも出入り禁止の ICU ベッドの上
人工呼吸器と、何本ものチューブが体に入れられがんじがらめ
まさにガリバー旅行記
植物人間状態で自由に動かせるのは瞳だけ
窓の外を横目で見ては、クリスマス一色の街をひがんでいた
もしも夏だったら、祭りや花火をひがんでいたのか?
春なら花をちぎっていたのか?
秋なら枯葉に隠れていたのか?
イブの夜 誰にも会えない寂しさは、千手観音の往復ビンタを食らうより辛かった
ましてや声帯が麻痺していたので、クリスマスソングを鼻で歌うことすらできず
静まり返った病室に心電図の音だけが ピッ ピッ と切なく響いていた
間違っても鈴の音には聞こえない
病院は、孤独ってやつにとって絶好の餌場 カロリー高く栄養豊富
やつは、時を刻むごとに太っていき 俺の体を24 kg も貪りついた
途切れ途切れの睡眠の中、様子を見に来る若い男の看護師さんが
グロテスクなローストチキンを素手で持ち ドン と苦しむ喉の上に置き
LEMONを丸ごと片手で絞り チキンに垂らす
そんな夢を繰り返し見ていた
その時、夢の中でLEMONの酸っぱい味と香りがして 思い出す度
いまだ喉が潤うほど
手術が終わり「大塚さん 大塚さん」と先生に呼ばれ
朦朧とした意識の中 14時間も戦ってくれた外科医の先生方から
命というクリスマスプレゼントを手渡しで受け取り…
そこには確かにサンタクロースは存在していた
P.S あなたに素敵なをCHRISTMASが訪れますように