EXIT

内視鏡最終結果が出るまでの1週間、ありきたりの日常は手つかずのまま置きっぱなし

花を買っていたら、枯れていただろう

咽頭がん再発 心にかかる重力は、戦闘機の7G を超えた

2度もぶち込まれた洞窟に また…

手足は縛られ さるぐつわをされ かすかに見える光が恐怖を煽る

どうせなら 目も耳も袋詰めにしてほしい

7日もかけてやっとたどり着いた診察室

扉の真ん前を陣取り、今回の患者ナンバー1818が表示されるまで 息をひそめ待つだけ

あれっ     1818(いやいやじゃん 縁起 悪ぃー) 

毎回1番目に呼ばれていたが、この日は1時間が過ぎ 2時間に差し掛かるころ

( おかしい なぜだ)

もしも癌のステージが上がっていたらとか、手術説明のため後回しとか、コロナでベッドが空いてないとか…

そこには、ネガティブを集めて団子にした革ジャンが 座っていた

不安がよぎり、車で待っていた嫁さんにメールを

「まだ順番が こない なんかあったのかなあ」俺

「お腹がすいたからおせんべ食べてまってるよ~ん」嫁

と、スイカを担いだお腹がスイカのスタンプが送られてきた

今日から彼女を ICE WITCH と呼ぼう

限界が来た

大病院の院長先生だろうが何だろうが か弱き俺を待たせすぎだ 扉をたたき

「大塚です、何時間待てばいいのでしょうか」

先生は目を丸くして、アシスタントに「おい どーなってる?」「すみません 私のコンピューターミスです(アシ)」

検査説明は、まだ手術するほどではない 

咽頭がんは転移性はなく、カビのようなもので削り取るだけ(早期発見の場合だが)

半年様子を見て、拡大鏡で見るとのこと

とりあえず解放され 出口には出られたが、入り口も出口も同じ場所 通り抜けは出来ない

こうして手つかずの7日間戦争が終わった

6か月がたった向こう側に何があるのか

NO 1818 より

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