去年のクリスマスは、入院真っ只中
もちろん、ケーキ ろうそく ツリーもなく
退院というプレゼントの言葉さえ遠い
素敵でロマンチックで不思議な気分になる日
あんなに歌も何も聞こえてこない 寂しいクリスマスは初めてだ
夜更かしして、どれだけ目を凝らしてみても
窓の外にサンタクロースはいなかった
きっと夢をひくトナカイでも
俺の痛々しい姿 幸のない寝顔に後ずさりしたのだろう
どうせ栄養剤と点滴だけで生きている (サイレントクリスマス)
行くあてなどもなく、船酔いする水夫を雇ったかのように
どこかに辿り着くあてもないイヴだった
今年はどんなクリスマスにしよう
何でもいい 楽しく盛り上がろう
無宗教のくせに胸で十字を切りアーメン まいっか
妻が胸で二等辺三角形を切る ホーホケ経に頼もう
クリスマスまでのカウントダウンが始まった
ほら 遠くから鈴の音が聞こえてくるよ
二度と「あの日売れ残ったケーキのようになりたくはない」