その時の季節とは関係なく、いつも俺と同じ温度で居てくれる娘の
防大を卒業する日が近づいてきた
4年間 普通の大学のようにもっと勝手に恋したり おしゃべりしたり
もっと自由におしゃれを楽しんだり 町を歩いてみたかっただろう
予定通りにいかないのが 大塚家の予定通りでいいじゃんと
ポジティブに走ってきた俺だったが
予定通りにめでたい日を迎えることになって うれしい限り
4年間 学生寮に入っていて 離れ離れ
チアガールは呼べなかったが、応援をしなかった日は1日たりとも無い
チャラい学生生活はしたくないと、パイロットを目指し 入校
入校してから、入校式までの4日間で 50人はやめてしまうと聞き 心配していたが
やはり 激やせ 4日間で何があったのか
肝の座った女の子だと思いきや 入校式では びくびくしていたのを思い出す
式の時、新入生何百人が一寸の狂いもなく 起立 礼
2時間を超える式典 背中に棒を突っ込んだように背筋を伸ばし
微動だにせず座っている あなた達には 頭が下がった
俺だったら 漏らしていたよ
とんでもない世界に 飛び込んでいった
やばい
連れて帰ろうかと本気で企んだ
彼女のためなら懺悔室の中まで突っ込んでいっても 悔いはない
そして、1年が経とうとした時 俺の食道がん手術
せめて 卒業式の帽子投げ だけは見たい! それまでは….
あの時は、何の手違いか 下っ端の悪魔と取引したせいか
今でも何とか元気で生きている
きっと、君の笑顔で大物の悪魔をやっつけてくれたのでしょう
そんなに強くなった君へ
ここに 卒業証書を贈りたい
貴女は、教官にしぼられ 先輩にしばかれ 規則に縛られ 寒さにしばれて
何度も こらえた涙にくたばれと 歯を食いしばったことでしょう
だからと言って 卒業祝いの賞金をくれと ぼられるほど甘くはない
防大卒業してから 士官学校があと1年
もうひと頑張りある
覚悟を決め 肝に銘じ 持っているものすべてを発火させて下さい
そして 大塚家家訓を 見事に実行できる準備が整いました
一つ 夢を与えてもらうのではなく 与える人間になれ
一つ 人の役にたて
一つ 俺を顎で使うのを絶て
あの愛と青春の旅立ちの舞台に立てることを 心から誇りに思います
そして 戦いの第一段階を終了したことを ここに証します
第 65 期 の君へ
卒業おめでとう
そろそろ 親として卒業証書をもらえないでしょうか より